僕の好きな作家に、内田康夫がいる。

もちろん浅見光彦シリーズのファンである。

今回、「天城峠殺人事件」を読んだ。

もう二十年前の作品であるが、この度、文庫本になった。

読み終わった後、５月の連休に伊豆に行きたくなった。

名付けて「天城峠殺人事件」ツアーである。

参加者は、僕ともう一人、カミさん。

宿泊する宿は、西海岸の井田にある民宿に決定。

なんと言っても値段が安い。

伊勢エビコースを頼んでも、一人１万円でお釣りが来るのだ。

さて、当日。

連休中ということもあり、最初から渋滞に巻き込まれた。

ようやく沼津まで来ると、川べりでたくさんの鯉のぼりが泳いでいた。

コンビニに車を止めて、行ってみると、幼稚園児が作った鯉であった。

再び、車に乗り込むと一路、戸田を目指した。

井田という集落は、戸田の手前にある。

すぐ目の前が海なのだが、美しい田んぼが広がっている静かな所だ。

とりあえず、まだ午後２時だったので、戸田港へ行ってみた。

港では、工場から大量の氷を積み込む漁船やクルーザー、

干されている海草や釣り人の成果を見て楽しんだ。

もちろん、直売所にいるタカアシガニも見た。

そうこうしているうちに、３時を過ぎたので民宿へと向かった。

夕食は、誠に豪華でうまかった。日本酒も注文し、気分は最高！！

ゆっくりとお風呂に浸かり、床につくとＴＶをつけ、格闘技を見た。

朝は、ウグイスの鳴き声で目が覚めた。

伊豆に来るといつも思うのだが、こういう目覚めは最高の贅沢だ。

民宿の主人に御礼の挨拶をし、井田の手作り塩を購入すると、

いよいよ今回の目的であるツアーの開始！！

まずは、源頼朝の息子である二代将軍頼家と縁が深い修禅寺に寄った。

頼家は、２３歳の時、入浴中に暗殺された。僕たちはお墓をお参りした。

修禅寺にも、たくさんの千社札が貼られていた。

お参りを終えるとカミさんは射的を楽しんだ。

僕は近くの店で、できたての黒糖まんじゅうを買った。

独狐の湯で、靴下を脱ぎ、右足を入れたが、熱くて３秒ともたなかった。

１時間ほど修善寺を歩き回った後、天城峠へと向かった。

国道から１．８Ｋｍほど入ると、天城トンネルに到着する。

車でも行けるが、ハイカーが多かったので、途中に車を止めて、

てくてく歩いて行った。

昔は下田に抜けるために、踊り子さんたちもここを歩いたのだ

と思うと感慨深かった。

約２０分で到着。

この城トンネルは、平成１３年に重要文化財に指定されたとのことだ。

ここを舞台にして、これまでに数々の小説が書かれてきたのである。

トンネルの中のランプがなんともなつかしく、大正ロマンを感じさせた。

このトンネルの出口で、事件は起こったのである。

「どんな事件？」カミさんが聞いた。

「どんな事件だと思う？・・・」

ツアーから帰ってくると、カミさんは「天城峠殺人事件」を読み始めた。