私が献血を始めたのは、ある事がきっかけでした。

それは福祉事務所に勤務していた時のことです。

年末の「愛の都市訪問」で沢山の物資を頂き、

私はある高齢者世帯のお宅にその一部を届けにいきました。

　到着して、ドアをたたきました。

でも、返事がありません。心配になって自分で戸を開けて、中に入りました。

奥をのぞくと薄暗い部屋の中におばあちゃんが座っています。

よく見ると、おばあちゃんは寝たきりのおじいちゃんの手を握っていました。

私はおばあちゃんに話しかけ、おばあちゃんの話を聞きました。

そして、頑張るように励ましました。

それから持参した「愛の都市訪問」の物資を手渡しました。

すると、おばあちゃんは私の手を握り、

「ありがとうございます。」と涙声で深く頭を下げました。

特別なことをしたわけでもないのに、頭を下げられたことが申し訳なくて言葉が出ませんでした。

社会人１年目の冬のことです。

このことがあって、私は少しでも人の役に立つことをしようと献血を始めました。

８年たった今でも、あの時のことは忘れません。

これからも進んで献血に協力したいと思っています。