生活科「夏を見つけよう」に、やりちゃんは大喜び！

すぐにたくさんのアマガエルをつかまえてきた。

虫かごに２０匹以上のアマガエルが入っていて、みんなに自慢げに見せてまわっていた。

あれから３日。

あのカエルたちは今、まだ教室のロッカーの上に置きっぱなしになっている。

「やりちゃん、虫かごの中じゃかわいそうだから、そろそろカエルさん、自然に帰してあげようか？」

「うん。そうする。」

やりちゃんとそんな話をして、二階の教室の窓から外を見た。

「どこに逃がしてあげようか？」

ほかの子どもたちも、一緒に逃がす場所を探してくれた。

「あった、あった。池がいいよ。噴水も出ているし、きっと喜ぶよ！」

「よし、そうしよう！」

虫かごを持ったやりちゃんを先頭に、みんなで池に向かった。

「じゃあ、にがすよ。」

そう言って、やりちゃんが虫かごを開いた。

池を囲み、歓声が上がった。

やはり、みんなもカエルたちを自由にさせたかったらしい。

手をたたいて、喜んでいた。

アマガエルたちは、次々と気持ちよさそうに泳ぎ始めた。

しかし、そのわずか数秒後、とんでもないことが起こった。

なんと岩場に隠れていた鯉たちが、いっせいに出てきたのだ。

そして、あっという間にカエルたちを飲み込み始めた。

歓声は悲鳴に変わった。

池に飛び込む子、教室へタモを取りにいく子、みんなで必死になって、カエルたちを助けた。

　まさかこんなことになろうとは、思ってもみなかった。

鯉がカエルを食べてしまうとは・・・。

　あの時、必死になってアマガエルを助けていた子どもたちの姿、今も心に焼きついている。