中学２年の夏、僕ら２人は、夜中に町のある場所で、でかい声をあげて騒いでいた。

これがいけなかった。

突然、近くの建物の窓が開き、

「おめーら、こっち来い。」

僕らは、恐そうなお兄さんに呼び止められた。

近づくと、腕組みしているその男の腕は太く、腕から背中にかけて、入れ墨が彫ってあった。

「ちょっと入ってこい。」

恐る恐る玄関の戸を開けた。

すると、目の前に大きな虎のはく製があった。

その上には、ちょうちんが並び、神棚があった。そして、「仁義」という文字・・・。

「今、何時だと思っているんだ。えー？おめえら、うるせえんだよー。」

僕は、やばいと思った。

「ちょっと上がれ！」

その一言に、僕らはいよいよ覚悟を決めた。

お兄さんの説教がしばらく続いた。

僕らは、ただただ、うなだれるだけであった。

しばらくすると、奥から親分らしき人物が出てきた。

「おい、もう許してやれ、相手は中学生じゃねえか。」

僕は、この言葉を聞いて、（もしかしたら助かるかも）と思った。

親分は、僕たちのところまで来て、僕らの頭をなでながら、

「もう夜中に騒ぐようなことをするなよ。」

と言った。僕たちは深々と頭を下げ、謝って出てきた。

　あれ以来、騒ぐときには、周りに注意することを覚えた。