「よく考えてから行動しよう」

この学級目標は、子どもたちと相談して決めたものであるが、自分の生活目標でもある。

昔から私は落ち着きがなかった。

生まれて間もない頃から、四つん這いで、いろんな所をよちよち歩きしていたらしい。

　ある日のこと、母親が台所で食事の準備をしていた時、事件は起きた。

「バタッ。」

母は、奇妙な音を聞いた。

何だろうと思い、居間へ行き、寝ている私の名を呼んだ。

しかし、返事がない。布団をめくってみると私はいなかった。

あわてて、家中を捜す母。

その時、トイレの戸が少し開いていることに気づいた。

まさか、と思い急いで、戸を開けた。

しかし、私の姿はなかった。

下を目を下ろすと、便器のフタがほんの少し開いていた。

今度は急いでフタを開けてみた。

すると・・・・・・

なんと、私が顔だけ出して、どっぷりとうんちにつかっていたのであった。

どうやら、よちよち歩きで居間から抜け出し、トイレの戸を開け、

トイレのフタをずらし、自分で、中に落ちてしまったらしい。

母は、急いで私を引き上げると、風呂場へ行き、水道の水で、

じゃぶじゃぶ私の身体を洗い始めた。

それから、すぐに病院へ行き、身体に異状がないか、診察してもらった。

その時、お医者さんは、こう言ったそうだ。

「よかったですよ。もし頭から落ちていたら、窒息していましたよ。」

この出来事は、長い間語られることはなかった。

まだ母は、この頃２０歳そこそこだったので、この大事件を誰にも言えなかったらしい。

でも、本当に助かってよかった。うんがよく、ついていたと思う。