先日、夜９時過ぎ、行きつけの飲み屋に出かけました。

ふと、先を見ると、犬が一匹いるではありませんか。

でも、飼い主がいません。

「あれ−、迷い犬か？」

そんなことを思っていると、その犬はフラフラと道路の中央に歩き出したのです。　

向こうからは、ライトを照らし、車が近づいてきます。

「あぶない！」

私は、急いで道路の中央へ行き、その犬を抱きしめました。

「キキ−。」

車のブレ−キの音がしました。

「ばかやろう！あぶねえじゃねえか！。」車の運転手が怒鳴りました。

ライトがまぶしくて、相手の顔は見えません。

私もカチーンときて、「俺の犬じゃねえ。俺に怒るな！」と言い返しました。　

　しかし、その車は、すぐアクセルをふかし、スピ−ドをあげていってしまいました。

首輪はついていたので、その後、その付近の家を一軒一軒回り、飼い主を探しました。

しかし、夜も遅く、突然なので、どの家も、あまりいい顔をしませんでした。

「お−い、おまえの家は、いったいどこだ−。困ったなあ。」

私は、その犬に話しかけながら、一緒に歩きました。

首輪を持ちながら、しばらく歩いていると、ある家の前で、その犬が座ったのです。

「ここだ！」

私は直感しました。

でも、その家は留守でした。

しかたがないので、向かいの家の人に聞いてみました。

「あっ、○○ちゃん。」

犬を見て、その家の人が叫びました。

「よかったあ。」

ついに飼い主の家を見つけたのです。この犬はやっぱり、留守宅の犬だそうです。　

　私は、その家に犬をあずけ、ほっとして家に帰りました。

結局、この時お酒は飲めませんでした。でも、気分は爽快。ちょっぴり幸せでした。