玄関ドアを開けると、目の前にめろんがいた。

「あれっ、めろん、なんで？」

ふだん、めろんは柵のある部屋で過ごしている。

その部屋へ行ってみると、柵はきちんと閉じられていた。

「めろん、どこから出たの？」

どうやら座布団を踏み台にして、柵をよじ登り出たようだ。

「だめだよ、めろん、いけません！！」

ぼくは、目を見て、きびしく指導した。

めろんは、首をかしげた。

めろんを柵の中にもどすと他の部屋を点検した。

あちこちに、めろんが歩いたり座ったりした形跡があった。

どうも家中をまわり、僕を探したらしい。

　次の日、仕事から帰ってくると、めろんは静かにベットで寝ていた。

「えらいねえ、めろん。今日は柵の中で、しっかり待っていたね。」

僕は、めろんの頭をなでて、たくさん誉めた。

ところが・・・・・・。

居間での食事中、ふと横に目をやると、かりんとうが一つあった。

かりんとうというのは、棒のような黒っぽいお菓子である。

（なんで、こんな所にかりんとうが？）

僕は近づき、まじまじと、その一本を見た。

すると、なんとそれは、乾いたうんちだった。

「めろーん、おまえ、今日も出たなあー。」

何事もなかったかのように、ベットに横たわっていためろんがちょっとだけ目を開けた。

　僕は悟った。

めろんは柵を乗り越えることだけでなく、再びもどることも学習したんだ。

怒りながらも、ちょっと成長しためろんをうれしく思った。

これなら、いざという時、めろんは、柵から逃げられる。

　僕はクーガを見た。

相変わらず、おなかを出し、グーグー寝ている。